サステナビリティ倶楽部レポート

第3号「この危機をどう捉え、どう踏み出すか」

2011年03月30日

●地球が大きく変動している

今年の年頭のあいさつで、下記のように書いた。「急速に政治・経済が多極化しているグローバル社会のなかで、2011年は人間界、自然界ともに地球の変動がより激しくなりそうです。世界のあちこちの社会課題に対して、それぞれの価値観や行動様式を取り込みながら、地球規模で解決に取り組むダイナミズムが必要になっているのです。」

地球に大きな変動が起こるという兆し、そのつもりになればいろいろなところで指摘されているのだが、都合悪いものはなるべく見たくないのが人間の心理だ。それが足元で現実となり、何とかしなければならない状況に直面してしまった。自然界の大きな変動は、地球の別のところでまだ起こるだろう。

そして自然だけでなく、経済や社会といった人間がつくってきた体制がこれまた大きく変動している。世界では、リビア問題、ユーロ危機再燃・・とどれもきわめて重大な問題が解決できずにむしろ相互あわさって悪化している。こうした重大ニュースが海外の紙面で次々登場するので、Fukushimaのセンセーショナルな報道が少し減ってちょっと気が楽になるが・・。こちらも大きな変動の連鎖が続くこと、間違いない。

●人間が創ったものに人間が支配される

世界規模で、これまでのビジネス(Business as usual)のやり方を変えなければいけない。震災から2週間以上たちこの先は被災地の緊急の救援から、中・長期的にどのように復興していくかを考えなければならない。

20世紀のビジネスモデル、ライフスタイルがもう限界だ、とずっといわれながら、それでもなお直視せずずるずる過ごしてきた。しかしもう、サステナブルな社会へと転換する時だ。

人間が創り上げ恩恵を受けてきたものなのに、それが私たち人間の手でコントロールできないモンスターになり、振り回されている。 「もうそれ以上動かなくていいから、ともかく止まって!」ともかく今は祈る思いで、落ち着いてもらうのを待つばかりだ。

この事態をみて、別の人造モンスターが思い浮かんだ。昨年5月にNY証券取引所でおこった「フラッシュ・クラッシュ」。金融システムでのモンスターの暴走だ。

今や取引はコンピュータの緻密なアルゴリズムによって超高速で行われているが、そのシステムに「想定外の」問題が起き、わずか数分で株価が暴落した事件だ。20分間の暴走で、7日分の取引が勝手に処理されたという。アルゴリズムのモデルがきわめて複雑化して、こちらもコントロールできずに逆に人間が機械に支配されてしまったのだ。

思えば、サブプライムやデリバティブの金融商品もその問題を多くの専門家が指摘し、警告を鳴らしていたのが、うまくいっている時は誰も止めなかった。原発も、本来危ないものだけど技術は進歩しているし、厳重に管理・運営されているから安全、と漠然と思っていた。

それぞれの国でもっとも得意としている強みの部分に、カタストロフィが起こっているようだ。QEでつないできたアメリカの財政・経済もいずれまた厳しくなり、その時モンスターが騒ぎ出すのではないか。

●やはり持続可能な社会(=サステナビリティ)へ

Fukushimaから逃げ出したとしても、日本中いや世界中のどこにも安全なところはないだろうと思う。移動していく人たちを叱責するのではなく、このような激震の世の中で、自分が何を大事にして何をしていこうか、という心づもりがないまま単に場所を変えていても、放浪が続くだけなのだ。

皆さんそれぞれで、企業が個人が何をすべきか、を考えながら行動しなければならなくなった。3・11以前の社会ではなくまた低炭素社会でもない、エネルギー消費そのものを抑えた循環型社会に向けて。それが日本のチャレンジで、世界も同様だ。

被災地の忍耐強さや秩序と節度のある助け合いの素晴らしさを、世界が称賛している。次はそうした共同意識でもって、経済の復興とともに持続可能な社会モデルをこの先どうつくるかにある。ここに世界は注目している。