創ゾウ人~世界を視る、地球で感じる~

地域循環のパートナーシップを実践

2020年11月12日

 

北杜市は別荘目的だけでなく、移住して農業を始める若者達も多いです。

地元民自体は高齢化が進んでおり、子供たちは高校卒業してから首都圏に出ていって帰ってこない・・というどこの田舎にもある典型的なパターン。田畑の耕作放棄地が年々増えるわけです。

 

そんな中でも、

「農業をやろうじゃないか!」

といってアクティブな農場もあり、そこを担っているのが外部からきた人たちなのです。あるいは家庭菜園の延長で自家用に畑を借りているケースで、こちらも外部者が多い。

      写真: Hanakoのサイトより

私がこちら付き合う仲間も、移住者がほとんどです。

移住してこちらで仕事をするには地元民と親しくなることが大事なので、皆さん時間をかけてコミュニケーションを築いてます。そんなわけで、別荘者はまずこのようなアクティブ若手移住者と親しくなることで、地域の中に入っていくのがやりやすい。

 

数年前から親しくなっている井上さんは、そんな中で最も実践的な農業者です。一人で始めた農場から今は法人化し「ファーマン」として生産を広げ、数名のスタッフで運営するまでに発展。

 

さらに自社の農場だけでなく、農を中心とした様々な地域活動に乗り出してます。

その一つが、北杜市役所や企業とも連携した「健幸北杜プロジェクト」。先日はHanakoに地域版SDGsの一事例として紹介されました。

「〈東洋ライス〉と山梨県・北杜市が実践する“持続可能な農業”とは?」

https://hanako.tokyo/column/sdgs/184982/

 

堆肥の活用を中心とした地域循環のモデルです。

これまでも農協や市が堆肥施設を建設して運営していますが、地域の中で畜産農家が糞尿を持ち込み、畑作農家が堆肥を利用するのみのサイクルでした。

今回の特徴の第一は、堆肥を地元の稲作農家が利用しそこでできたコメを地域外の企業(東洋ライス社)が購入することです。企業が乗り出す連携がポイントです。

 

東洋ライスは「BG無洗米加工」の技術を確立しており、環境を配慮したプレミアム米として評価を得ています。この加工法は、無洗米の過程で出るヌカを回収し有機肥料として畑に活用するもので、廃棄物を処理することが肥料として価値を持つことでうまく循環に組み込まれます。

 

これを北杜市でも行うことで、同社のこだわりと同時に北杜市も地域循環を一歩広げた取り組みができるのです。

 

「SDGsなどと言わなくても、古くから当たり前に日本の農法としてやってきたことが、今流のサステナビリティなんですよ。」

昔ながらのやり方を続けてきただけだといってますが、それが「循環型社会」として評価されるなら・・・ということで、同社はその活動の発信にも力を入れ出してます。

 

さらにこのプロジェクトが回り出しているのは、同社の力だけでなく、むしろ農業への実践を地道に先導してやってきた井上さんほか、地域の農業サイドの方達の継続した意欲なんです。

「自分たちで地域を担っていく」

そんな実感が伝わり、いうだけでなく実績が出だしているので、私も協力しているところです。

 

“地域”がおもしろくなってますよ。

 

海野みづえ プロフィール

2020年4月より山梨県北杜市に在住。
それまでは企業向けのサステナビリティ経営アドバイザリーを展開。23年間経済と社会の接点の分野をビジネスの立場から取り組んできた。
この間自身の価値観を根本から転換していく意識が湧き上がり、生き方を変革(Transform)することが、サステナビリティの基本と感じる。

現在は自然と接する中で人間らしいライフスタイルを実践し、社会全体をホリスティックにとらえる眼をつちかっている。

創コンサルティング
https://www.sotech.co.jp/

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