創ゾウ人~世界を視る、地球で感じる~

海外メディアでみるグローバルトレンドとニッポン

2010年01月25日

サステナビリティやCSRのテーマがグローバルな課題なので、この視点を切り口に世界の動きを追っているうち、世界経済や政治の動き・関係をマクロに見られるようになってきました。そんなことから世界の動きと日本企業の関係を語っているのでよく海外に行っているように思われるのですが、実はそれほどでもないんです。かなり的確に海外トレンドを把握できるのは、主要メディアを読むようにしているからです。

はじめはCSR関係の雑誌やニュースでした。このテーマが国内で話題になる前から関わっており、当時は日本にそんな情報などないので海外の報道や発表資料を読むしかなかったのです。しばらくしてエコノミスト誌を読むようになったのですが、同じ英語のメディアでもアメリカのものはアメリカンな視点なのに対し、イギリスはインターナショナルに捉えています。今はほかの経済紙もなるべく読むようにしています。

海外メディアを読むコツがつかめるようになると、日本のメディアの国際報道の狭さがよくわかります。これだけ世界の国境が低くなっていながら、グローバルトレンドについて日経だけではほとんどわからない。報道自体が少ないこともそうですが、事実を単発的に伝えているだけで分析的な洞察がないから、根底を流れる仕組みとか意図がろくにわからないのです。

特に金融危機後、世界勢力がダイナミックに変わっている動きを日本はほとんどキャッチできなかったといっていい。アメリカの金融資本主義の失敗をなじるばかりでグローバル化に否定的になり、一時は古きよき日本への回帰モードにすらなったのです。それでうまくいけばよかったけれど、新興国がものすごい勢いで追っかけてくる状況に冷ややかで、目を向けようとしなかった。ここにきて新興国のパワーを見せつけられて、あわててその報道をするようになってますが、まだ足りないです。

今世界が最も関心を向けているのが中国。先日のエコノミスト誌では、大勢が成長続ける中国経済の危うさを指摘しているなか、バブル期の日本経済を反面教師として対比させて「中国経済は以外と堅実」といった分析を掲載しています。もうJapanはこんな風にしか取り上げられなくなってしまい・・・。

その根拠は、1)資産の過大評価、2)インフラへの過剰投資、の2点が日本のバブルと比べて「安全圏」にあるというのです。日本のように「大して使いもしない橋」をせっせとつくっているわけでなくまだまだインフラ不足なのだ、といった調子で。しかし3)銀行の過剰融資については、政府の対応が間違えばバブル崩壊に向かうと分析。これを受けてなのか、先週中国政府は主要銀行の融資に制限を設けると発表しました。

そして最大の懸案は、人民元の切り上げ。通貨を安く押さえてMade in Chinaの大量輸出で儲ける構図を続けるために、中国政府は頑なに拒み続けています。楽観的な同記事でも、これについては強く警告。世界経済のバランスが崩れれば、恩恵を受けている中国自体が危うくなるのですが、目先の利益を簡単に手放したくないわけで・・。

こうした世界のバランスと政治・経済の緊張感は、海外メディアでこそ伝わってきます。日本に閉じこもってないで世界を見ないと。

海野みづえ プロフィール

2020年4月より山梨県北杜市に在住。
それまでは企業向けのサステナビリティ経営アドバイザリーを展開。23年間経済と社会の接点の分野をビジネスの立場から取り組んできた。
この間自身の価値観を根本から転換していく意識が湧き上がり、生き方を変革(Transform)することが、サステナビリティの基本と感じる。

現在は自然と接する中で人間らしいライフスタイルを実践し、社会全体をホリスティックにとらえる眼をつちかっている。

創コンサルティング
https://www.sotech.co.jp/

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