創ゾウ人~世界を視る、地球で感じる~

マルチステークホルダー運営の難しさ

2008年11月10日

「マッサージなんてどこが気持ちいいのか」と思っていたのは若い頃。肩の辺りに手をかざされるだけでゾワッとして触れられることさえ嫌だったのですが、今やマッサージオタクのきわみです。

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今年からGRIのステークホルダー協議会の委員になっているため、そのミーティングに先月参加してきました。全体で約50人であり、参加したのは35人ほどです。国やステークホルダーのバランスを配慮したマルチステークホルダーで構成される、GRIの議会にあたるものです。

IMG_0024_01会議は丸三日間の日程なのですが、ひとつひとつのプログラムの時間が長く何かを決めるというよりも、メンバーの意見をできるだけたくさん聞くという進行でした。ここでは委員のほかに議長と副議長が選出されており、GRI事務局からはサポートスタッフがいるだけです。GRI代表は最初のあいさつと最後の次期委員投票の時だけ出席でした。

議長はいるのですが、各プログラムになるとファシリテータが委員のなかから決まっていて、進行はこの人たちがやります。議題はガイドラインやGRIの運営の中身について検討するのではなく、今後のガイドライン改訂の予定や会議体の運営のルールについて諮るということが中心でした。決議事項もあるのですが、ここで何か決めるとか問題をとことん話し合うものではなく、メンバーがあれこれ意見をいってそれでお終いという言いっぱなしでまとまりがないのです。GRIのいうマルチステークホルダー運営とはこんなもんなのか、と初回の私は様子見の状況でした。

しかし、こんなふうに感じていいたのは私だけではなく、実は皆そうでした。1日目が終わると、夕食時に皆さんかなり運営についての不満を話し合ってました。進行は非効率だし、大して決め事もなかったよなぁ、と。

すると2日目の最後のプログラムになって、この不満が本会議で噴出してしまいました。きっかけは、3日目に予定しているもっと重要な議題をこれから先に検討しよう、というメンバーの発言でした。そもそも用意されていた議題にかなり不満があったのです。「もっと話し合いたいことがあるのに、だいたい議題をよく吟味せずに決めていることが問題だ」という点に多くの人がコメントしはじめ、部屋の空気は騒然。そのうちに、「議長のリーダーシップをまったくない。進行が非効率きわまりない」とやり出したのです。

議長はいたたまれなくなり、「こういう状況で私が部屋に居るべきでないので、私は一旦外にでる。皆さんで議論してくれ。」といって外に出てしまったのです。うわっ、ど、どうなるんだろう・・・。こんな風に問題があればそれを名指しでとことん指摘するのが海外のNGOなのだろう、と思いながら経緯を観察。 結局、明日の会議開催までに議長に今後の運営について改善方針を考えてもらい、今日は散会ということに。この間、「時間を延長してこの問題をもっと議論しよう」というメンバーの提案に、フランスの労働組合代表は「私は組合の仕事できている。勝手に規定時間を延長するな。」とかみつくといった場面もありました。

結局翌朝の会議開始前に議長が改善案を提示し、それで残りのプログラムを進めることになりました。議長も最終日は積極的に議事をまとめようとする姿勢がみえましたが、昨日の皆の反応にかなりダメージがあったようです。

こんなことはGRIでも始まって以来なのだそうで、欧米の皆さんもびっくりしていました。私としては、マルチステークホルダーの会議体を運営していくことの難しさを目の当たりにしました。最近は組織をマルチステークホルダーで構成するのではなく、特定の政策策定のように課題が明確である場合にその目的に応じて関係する様々なステークホルダーで検討する、という方に移っているようです。

海外に出ると新たな点に気づかされることが多く、いつも刺激的です。

海野みづえ プロフィール

2020年4月より山梨県北杜市に在住。
それまでは企業向けのサステナビリティ経営アドバイザリーを展開。23年間経済と社会の接点の分野をビジネスの立場から取り組んできた。
この間自身の価値観を根本から転換していく意識が湧き上がり、生き方を変革(Transform)することが、サステナビリティの基本と感じる。

現在は自然と接する中で人間らしいライフスタイルを実践し、社会全体をホリスティックにとらえる眼をつちかっている。

創コンサルティング
https://www.sotech.co.jp/

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