サステナビリティ倶楽部レポート
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サステナビリティ倶楽部レポート 第9号 2011年10月6日
「CSR in Asia 2011」
発行:(株)創コンサルティング
海野 みづえ ( info@sotech.co.jp )
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先月はクアラルンプールに出張。
活況あるアジアの街は、ぶらぶら散策するだけでこちらもエネルギーをもらえます。
KLは初めてなので、昔とどう違ったか・・までわからないですが、それでも新旧混在
している様子が目につきます。モニュメントのペトロナス・ツインタワーとその
エリアは、最先端を集めたところ。やはり、経済をけん引する象徴をどんと建てて、
どこから眺めても堂々と見せることは成長の過程では必要ですね。
続き> http://www.sotech.co.jp/talk/vol87.html
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●CSRでもアジアのパワー
海外の会議に参加するたびに、CSRがいかにグローバルな課題として語られまた事業や
経営に強く関係しているか、そこに集まる人たちに触れることで伝わってくる。これまで
行く会議は欧米が中心だったが、今回は香港拠点でCSRを推進するCSR Asiaが主催する
アジアの会議に参加し、欧米とは違った活況さを実感して帰ってきた。
この会議は毎年開催されているもので、前回バンコクで参加して以来3年ぶりになる。
経済成長が著しいアジアだけに、CSRについてもこれまでの会議以上に動きがあって
賑やかだった。参加者も400人を超え、毎年増えているという。
以前の会議では、企業側は欧米多国籍企業のアジア拠点の方たちが多かった。それが
今回は、アジアのローカル企業のプレゼンスが目立つようになり、参加者も1社から数名の
チームで来ている状況だ。ビジネス界でのアジア勢力の拡大が、CSRの分野にも表れている
ことがよくわかった。
CSR Asiaは企業や研究機関をメンバーとし、CSR研修や推進支援を手がける公益的な
Profit Organizationだ。政府などに働きかけるアドボカシー活動よりも、コミュニティに
向けた企業のCSR実践に力点を置いており、地域での密着感が強い。参加してくる顔ぶれも、
ローカルなNGOや市民団体がかなり多い。アジア地域でのCSR実践者のネットワークを広げ、
市民側との連携につないでCSRを深めていこうという狙いだ。
●NGO: コミュニティ側の頼れる推進役
こうしたアジアの状況を反映して、会議全体でのトピックの横串に「コミュニティ」が
通っていることが大きな特徴だ。どのセッションにも必ずNGO側からスピーカーが出ており、
企業とコミュニティサイドが並ぶ形で進む。アジア各国で慣習や制度は様々だが、
どこでも政府のガバナンスが不十分で信頼性が低く、その公益的な役割にNGOが期待
されるのだ。
多くは意識の高い個人のイニシアティブで始まったもので、地域に根づいた固有の
実践活動をしている。活動の独立性や透明性を確保することで政府よりも信頼がおけ、
きちんと仕事をしてくれる存在になっているのだ。政府もよさそうなNGOを支援して
育成することで、自分たちではできない仕事を担ってもらう連携が定着している。
NGO/NPOというと俗人的な素人団体で、時にラディカルという意識が日本企業のシニア層
には根強いが、それは政府が国の中核でうまく働いてきた日本だけのことだ。アジアでは
NGOの役割がかなり重視されていて、組織運営力も企業経営と遜色ないということを
日本企業はもっと知っておく必要がある。こうした草の根(=地域での信頼)+
運営ノウハウ(=経営力)を備えた団体なので、企業経営にとってもステークホルダー・
エンゲージメントが大いに活用できる。
セッションでは、企業のコミュニティ活動を単なる寄付やチャリティで終わらせる
ことなく、地域の発展にプラスの影響をもたらし続けることに焦点を当てていた。
企業がNGOと連携している成功例として、コカコーラとWWFオーストラリアの事例紹介が
あった。日本企業もパートナーシップは多いが、このケースはコカコーラ側の資金拠出
も大規模で本格的だ。それでもコカコーラ内で社内にその必要性を説得させるには
随分と時間がかかり、そう簡単ではなかった、という体験談を話してくれた。
やはり、企業にとってコミュニティ活動のプラスの効果がなければいけない。地域
での活動をコミュニティへの投資と考えることだ。そうなると、投資に対する効果は
どうなっているのかが問われる。地域への影響ばかりでなく、ビジネスへの影響を
計測することが必要になる。CSR Asiaでは企業とNGOの仲介役を務めながら、経営層を
説得させるべく、コミュニティ活動の事業への影響を評価し「見える化」するツール
も開発している。
●徐々に広がるISO26000の骨格
日本と同様、アジアでもISOへの関心が強い。すぐにISO26000に沿って構築しよう
というわけではないが、どんな内容か知っておこうという企業側の反応は日本と
同じだ。
やはり気になるのは、これがアジア各国でどう展開されるかだ。ISO26000の人権や
労働慣行といった主題は、先進国ではなく新興国や途上国で問題にされる。
アジアの国々も、CSRを推進するためにISO26000をうまく組み込んでいこうと
考えていることを伺った。
これはガイダンス文書で認証の対象ではないなか、どうやってどこまで活用したら
いいのでしょうか、という質問をよく受ける。重要なのはISOだけの話ではなく、
この規格の主要ポイントが他の枠組みにも組み入れられていくことだ。例えば
OECD多国籍企業ガイドラインは今年の見直しのなかで、これまで入っていなかった
人権課題を盛り込んだが、これもISO26000の流れをくんでのことである。アジアの
各国がCSRを制度に組み入れる動きもあり、そこでもISO26000の主題や枠組みを
軸にした動きになるだろう。
制度化については、企業に直接CSRを要請するという動きとあわせ、情報開示の
面での動きも並行している。こちらは、法規制による強制というよりも、投資家向け
の情報開示を促進するという流れで、証券取引所での開示ルールにESG情報を
組み入れる制度化だ。政府の統治が十分でない国々は、投資家に実質的なCSRを
求める展開を担ってもらう仕組みを取り入れている。日本ではSRIやESG投資が
あまり顕著でないが、アジアでは欧米型の資本市場のロジックを政府も活用
しようとしている。ESGを含めた非財務情報の開示を、アジアも支持する形となって
検討が繰り広げられている。
●やはり発信すること
世界経済のダイナミズムの源泉になっているアジアでは、CSRの場面でも、
新興国企業が先を争って自社の戦略に位置づけているのだ。やるべきことを
ちゃんとやっている日本企業は、ことさら表に出して公言すべきでないという
口癖だが、「言ってくれなければわからない」。ニホンという存在感が小さく
なってしまったうえに、このような場にほとんど参加してこない日本企業には、
「何やってんの?」という反応なのだ。
陰徳とは聞こえがいいが、積極的に対外的にコミュニケーションしなければ
何もやっていないと捉えられる。「見える化」することが企業のブランド化に
つながり評判を高め、それがアジアでの次の事業展開のうえでも土台になるはずだ。
戦略的にCSRを示していくことが必要だと、改めて感じた。
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