サステナビリティ倶楽部レポート

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  サステナビリティ倶楽部レポート 第10号   2011年10月21日
    「末期的な日本企業のガバナンスとメディア」

    発行:(株)創コンサルティング
       海野 みづえ ( info@sotech.co.jp )

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●メディアには洞察が期待されるのだが・・
原発事故以降、日本での主要メディアの報道はとても信用できない、と多くの人が感じている。
ところがそうなってみると、今度はどの情報を信じたらいいのか、つかみどころがない。
自分で判断せよ、といわれても何か外部の情報を得ないことにはどうしようもない。

そこで私が行っているのは、海外の信頼おけるメディアを日頃から読んでおくことだ。
今回のオリンパスの社長解任問題について、海外と日本の違いをみてみると日本の報道がいかに
おそまつかがよくわかる。世界の主要な経済メディアであるFT、WSJ、Reutersの報道を読みながら
日経を読むと、日経には自らの取材や報道が大してなく、ただの伝達屋でしかなくて情けない。

何日か状況を追ってみると、その根底には事実を報道することを「避けている」「恐れている」
「そんなことに触れてはいけない」体質があるらしいことが見えてくる。こんなメディアだけを
読んで、経済動向や企業の行動がわかった気になっているビジネスマンは危険信号だ。

私が最初にこの記事を読んだのは、15日のFT紙。いつもオンラインで読むのだが、この日は
たまたま紙面を手にすることができた。1面の中ほどにOlympusの記事が目を引いたので読んで
みると、買収に関する不透明な支払いの内容だ。中を開くとウッドフォード氏の顔写真入りで、
解任のいきさつや彼の指摘が詳しく取り上げられていた。紙面でみるとインパクトが違うなぁ、
と思えてきた。

直観的に「これは大変だ」と思うとともに、日本のメディアがこれをどう報道するか、この先を
追ってみようと興味がわいてきた。私の期待は、事実をどこまで追求するだろうか、ということ
だったのだが、上記のように「何もしない」のだから、残念というよりガクゼンという思いだ。
日本のメディアでは、「ジャーナリズム」というプロフェッショナル精神は死語らしい。
日経と企業は利害関係があって、純粋に独立に事実を捉えようとしないということか。その結果、
公になっていることをお伝えいたします・・・だけに甘んじるらしい。末期的なメディアの状況だ。

ちなみに、英語が苦手でも、海外メディアの日本語版はいくつかあるので、そうしたものだけ
でもある程度海外動向はわかる。私がよく読むのはこんなところです。
http://jbpress.ismedia.jp/category/global
http://jp.wsj.com/
Critical Readingのコツを皆さんも磨いてください。

●説明不責任、企業不統治
前社長にこれだけ実状を公表されているのだから、この事実がどうなのか、どう対応してきたのか
を会社側が公表すべきだが、何も説明になっていない。情報を開示しさえすればいいのではなく、
開示した情報の背景や企業の判断などを説明する責任がある。日本企業がこの両者を同じように
捉え、「アカウンタビリティ」に非常に重みがあるもののそれへの意識が薄いことを私はずっと
指摘してきた。現経営陣の見解が正当であるならば、きちんと出てきて説明すべきである。都合が
悪いことは闇で処理するのでは、原発問題と変わらない。

追放された前社長は海外で実状をすっぱ抜いており、両者の見解の相違が明確にわかる。多額の
手数料支払いや不可解な健康食品や化粧品への事業投資の理由を説明すべき、という前社長の
主張は当然だ。

こうした不透明な資金の流れは表面化した問題の氷山の一角で、重大なことは現在の業績といった
短期的なものではなく、根本的なガバナンスへの不信だ。トップの内部告発が力でねじ伏せられて、
一体何か内部統制なのか。社員が優れた製品を開発し、倫理規定をきっちり守っていても、
トップの暴走が許されるならばすべての努力があっという間に崩壊する。

今回は告発者がガイジンであるため、ここまで実状が暴露できた。彼自身もインタビューのなかで
「日本人だったら、こういうやり方はできないだろう」といっている。明るみになった財務問題
だけでなく、Kikukawaがいかに独裁的にやってきたか、CEOの報酬も彼が自分で決めて誰もそれに
異議を唱えられない形だけの取締役会、社外取締役も何のチェックもしない、といった内情を
まくしたてている。

これはオリンパスだけの問題ではないだろう。
会社側がいうように文化の衝突による経営手法の乖離なのであれば、同じようなことが他で起こって
いても明るみにならない。そんな会社ばかりとは思いたくないが、日本のメディアはそこをまるで
突っ込まないわけで、陰の部分はまだまだ温存しているはずだ。内部統制の体制づくりをいくら
進めても、日本企業のガバナンスは末期的なままだ。

社会が変わるには、これまでの中核的な体制でないところから一石が投じられる。
中東の反乱、ウォール街占拠など、世界中で既存体制への不満や不安がうねりになっている。
日本が変わるには、今までの中核層の「日本人/高学歴/大組織に所属のオトコ」でないカテゴリー
の動きがきっかけになりそうだ。

私もその「既存でない」部類の人間として、おかしいことは主張していく勇気と行動力をもたねば、
と改めて刺激を受けた。

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