CSR倶楽部レポート
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CSR倶楽部レポート 第78号 2010年8月20日
「戦略的CSRが軸となる『持続可能な成長戦略』」
発行:(株)創コンサルティング
海野 みづえ ( info@sotech.co.jp )
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8月に入ると太平洋戦争の番組が報道されますが、今年は特にそれが多かったようです。
街頭で若い人たちに「今日は何の日かわかりますか?」と質問して、「知らな~い。」
「今の生活に関係ないし・・。」と平然と関心も持たない状況でいいわけないです。
「あの悲惨な現実を後世まできちんと伝えなければ」と、戦争を経験した人たちが
口ぐちに語るようになってきたのでしょう。
続き>>http://www.sotech.co.jp/talk/vol62.html
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●ESGが組み込まれた新成長戦略
昨年末、本レポート第70号「日本企業に必要な成長戦略の明示」で、サステナビリティ
(持続可能な発展)要因が成長戦略の柱になっており、「持続可能な成長戦略」が世界で
広がっていることを書いた。それ以来、日本でも6月に経済産業省が産業構造ビジョン、
政府が新成長戦略を出し経済政策の方向が示された。
新成長戦略の戦略分野でもESG要因に関連する視点がそれぞれに入っており、持続可能な
成長戦略といえる部分が多くある。
新成長戦略の戦略7分野 ESGの視点
1.グリーン・イノベーション → 環境・エネルギー問題
2.ライフ・イノベーション → 高齢化、障害者問題
3.アジア展開 → 社会インフラの整備、貧困問題
4.観光立国・地域活性化 → 地域資源の活用
5.科学・技術・情報通信 → イノベーションの社会への適用
6.雇用・人材 → セーフティ・ネット、新しい公共
7.金融分野 → 投資家(特に海外)へのアカウンタビリティ
こうした戦略は、
「持続可能な社会に向けて社会にプラスの影響をもたらすと同時に、企業経営にとっても
従来の経営手法にイノベーションをもたらす効果をもち、企業価値と社会価値の両方を
高める」
戦略的CSRの実践につながる。事業を通して社会課題を解決することが株主にとっての
価値向上にもつながり、機関投資家もCSRの戦略性について関心を寄せているところだ。
●サステナビリティとCSRの深いつながり
新成長戦略が明示されたことで、企業側も中期計画策定にあたってこれを意識するだろう。
既にこの分野を中計の柱に置いている企業も多い。特に環境・エネルギー分野は、
エンジニアリング会社などで戦略として位置づけられている。この成長戦略のなかで
戦略的CSRを意識して、これまでのCSR活動をうまく関連づけることだ。
ところがそんな会社でも、CSRと事業戦略が全く別物に扱われているケースが多い。
いまだにCSRはコンプライアンスまたは社会貢献というところもあり、CSRが事業部の
現業とリンクしていないからだ。あるいはCSRがサステナビリティと強く関連している
ことに気づいていない。
これは、CSRを法的責任、経済的責任の上位概念として企業の「責任」範囲からのみ語る
法務的な見方が強いことがあるだろう。CSRをグローバルな「社会」の立場から認識
すれば、サステナビリティとの関連が理解できるはずだ。そうなれば戦略的CSRが
持続可能な成長戦略として展開され企業価値につながることもわかるだろう。
●投資家へのアカウンタビリティに重点
欧米のリーディング企業は、持続可能な成長戦略を明確に示し、これに自社のCSRを
リンクしていることがよくわかる。
環境ビジネスを戦略の柱にしたGEの例がよく出るが、同社はヘルスケア事業を次の柱
にしている。インドや中国で現地の社会ニーズにあった製品を開発するR&D戦略であり、
現地スタッフを中心とした開発部隊だ。「先端製品は先進国で開発し、世界に
販売する」という従来の発想を逆転した「リバース・イノベーション」と銘打って
いる。市場は新興国ばかりでなく、先進国の医療ニーズも狙っている。このライフ・
イノベーションは社会課題の解決という視点からきており、エコマジネーションに
続いて注目を持たれている。
食品会社のネスレは、食品の原料調達戦略に苦心している。農産物の生産国で、農家に
持続可能な農業の指導プログラムを実施し、生産物の買い取り保証をしている。
商社を経ずに直接原料調達の現場とつながることが、安定調達につながるとの考えだ。
食糧価格の変動が激しいなかでこの制度を広げることはそう簡単ではなく、全体の
取扱量からするとまだまだ少ない。それでも長期的な事業での取り組みとして、CSRの
意識をもちつつそれ以上の戦略意図がある。
こうした欧米企業は、投資家の反応を非常に重視しており、アナリストミーティング
や事業方針の説明会などで持続可能な成長戦略が明快にわかるようにコミュニ
ケーションしている。日本企業は透明性とアカウンタビリティの違いをあまりわかって
いないようだが、情報を開示する(透明)だけでは外部に伝わったといえない。
自社の考えや方針を示し、なぜそれをそしてどのように行うのか、その事業活動は
どのような指標でどう測りそれにもとづいてどれだけの成果が出たのか、といった
ことを「説明」する責任がアカウンタビリティだ。欧米企業のアニュアルレポートは
項目に従って開示しているものではなく、業績との関連つまりマテリアリティに
基づいて自社流に記載しているので、投資家へのアカウンタビリティがよくわかる。
●業界内再編へのチャレンジ
産業構造ビジョンは、多すぎる企業数の集約のことも含んでいる。国内の競合が
多すぎて日本同士が食い合いを繰り広げる結果、海外に躍進する前に消耗してしまい
グローバルレベルで力尽きている。
かつては政府や旧通産省が前面に出て産業振興や業界再編をリードしてきたが、
今はそういう時代ではなくなった。経済産業省はM&Aをしやすくする法規制の整備を
進めるまでで、主役は企業だ。産業界が自覚して自らで進めるのが理想だが、
当事者は保身に走り大胆に今の経営を切り込んでいけない。
そこで、資本市場の論理でM&Aを促す投資家の力が働く。しかし日本ではこれに極めて
拒否的で、力の限り阻止してしまうためこのメカニズムにも期待できない。悪いマネー
ばかり気にして必要なマネーが世界から入ってこないので、東証の地位は低下し、
企業は海外戦も大きく展開できない。
今の経営者は、そこまでしてグローバルで勝ち続ける巨大企業にならなくてもいい
じゃないか、といいたいのだろうか。いいものを作ることがカイシャの使命であり、
大きすぎてはやっていけない・・・。これも一理あるが、リスクを見ないようにして
思考停止に陥っているようで、これではゾロゾロJALのような経営が出てしまう。
あるいは、どうしようもなく日本経済が衰退し、あそこもここも経営破たんで
わが社も仕方ない、というところまで破れかぶれの経営を続けているかのようだ。
何やら、生きて帰ることを辱められた敗戦時の日本軍の進駐と重なってくる。
韓国では、1998年の経済危機にあたってIMFが介入して産業再編を強制的に促された。
その結果、今では巨大グローバル企業が猛進している。韓国企業は強いばかりで
何か危ういものを感じるし国内の問題も多いが、それはそれとして国と企業を復活
させたのは事実だ。日本も自力で改革できないならば、IMFや国際機関が荒療治に
踏み込んで来るのを待つしかないだろうか。
話題が脱線してしまった。
持続可能な成長戦略や戦略的CSRは日本企業の強みだと私は思っている。意図して
それを特長づけることで、欧米企業や新興国企業とは違った企業像が出てくるの
ではと思う。
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