CSR倶楽部レポート

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   CSR倶楽部レポート 第76号    2010年6月21日
     「中国: 低コスト生産拠点の終焉」

     発行:(株)創コンサルティング
        海野 みづえ ( info@sotech.co.jp )

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毎日食べるご飯。私は北海道の自然栽培米を購入しています。
自然栽培は有機栽培と違って、農薬を使わないだけでなくともかく「自然の」状態で肥料
もやらずに育てていく農法です。
北海道に移住した知人が発掘しすすめてくれたおかげで、私も昨年秋から食べています。
自然米を食べたいというよりも、そういう農法を自力で努力して開拓しているこだわりの
農家や現場に触れたい、ということの方が大きいです。
続き>>http://www.sotech.co.jp/talk/vol58.html

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● 賃上げのストライキに問題波及
前回フォックスコンの中国での自殺事件を取り上げ、「日本企業は・・・自らの工場経営
にとって、この事件は他人事ではない。」と書いたがそれが現実となった。ホンダの部品
工場で相次いでストライキが発生し、自動車生産本体までストップする動きに発展している。
ホンダの場合、労働環境の悪さは指摘されていないが低賃金への反発だ。フォックスコンが
対策として賃金の30%上げを決定したこともあり、事態は中国の賃金問題全体として波及
している。

中国のストライキ数はここのところ増加しており、ホンダだけが例外なのではない。しかし
そのほとんどは中国企業内での発生であるため、あまり表にならないという。今回ホンダ
工場が大沙汰になっているのは、最早一部の不満因子の表れではなく根本的、構造的な
経済問題になっていることの表れだ。

●これから深刻になる労働力不足
そのひとつは、労働人口の問題。
中国政府の一人っ子政策の影響で、労働力となる若者層の人口がこれから減少していく。
内陸から沿岸部への労働力移動という構造は、「いくらでもいる」内地の貧しい農村から
補給可能というシナリオのうえに成り立っている。その内地でも少子高齢化がこれから始まる
のだ。

加えて政府は経済活性策として、内地での工場立地を奨励している。多くは雑貨製造工場など
のローテク工場だが、中国企業をはじめ内地への移転が進んでいる。また小規模ではじめる
起業家も支援している。沿岸部まで遠路はるばる行かなくても、自分の村近辺で就業の場が
増えているならその方がいい。

●ストライキ鎮静に動かない政府
また政府は労働者の所得を増加させたい方針なので、賃上げは好ましい。
現在の高度経済成長は政府主導の公共工事によっているが、今後実質的な成長を続けるには
個人消費を増やす必要がある。そのためには一般人民の所得が上がり豊かになることだ。
法定の最低賃金のアップだけでなく、市場原理で賃金が上がってくれるなら政府としても
ありがたい。

しかしここで問題なのは、ストライキによって賃金が上がることだ。
2008年の労働契約法により、各社とも労働組合にあたる「工会」を社内に設置している。
といっても中国では結社の自由が認められていないので、社員の相談組織のような機能で
ある。昔のストライキは工会の代表(実質、共産党員)が静かにバックからサポートする
ようなスタイルだったそうだが、現在はもっと過激なやりかたになっている。

ストライキ主犯があちこち火をつけて回っているということもある。行動家の元祖は天安門
事件の渦中にいた当時の学生だ。投獄中に肺炎にかかり片肺がないという苦渋の活動家などが
あがっている。もっとも活動家にも様々おり、私が以前深センで訪ねた方は非常に穏やかな
人物だったし、FTのインタビューに登場している労働者団体の代表も学識派という感じの方だ。

しかし携帯で外部の情報を簡単に入手できニュースが瞬く間に広がる今日、噂を聞いて
「俺たちも」と他の工場に伝播する威力の方が大きい。労働者の権利に目覚めた現代っ子が
ストライキの中心のようだ。目覚めたというより、権利という切り札が「使える」らしから
ウチもやろうぜ、という方が正しいだろう。工会は合法的に認められた組織だが、正規の
ルートでなく社員が勝手にグループをつくって叫び声をあげるという雪崩状況が始まってしまった。

ここまできたら、政府が収めるべきじゃないか、あるいは、政府がある程度の賃金の提示を
したらいいじゃないか、と思う。
政府としても賃上げの方向は支持したいが、それがストライキの波に押されてということに
なると、「結社の自由」を認めることになる。政府が最も恐れるのは、人民の暴動が政府に
向けられることだ。今のところ怒りは外資企業に向けられているとはいえ、それがいつどう
変わるか。当然政府はこの問題を知っているものの、慎重で黙認を続けている。共産党国家下
での資本主義経済のかじ取りが試される。

●豊かになる国の構造を受け入れる
中国がこれから経済成長を続けるためにも、個人所得を上げる政策に変わりはない。「世界
の工場」といわれた中国はもう低賃金生産拠点ではなくなる。ストライキはその構造変革の
始まりで、今後沿岸部は自動化を取り入れたハイテク工業地帯、内陸部はローテク工業地帯
という方向に変わるだろう。さらに中国企業は、アフリカで生産するという低コスト生産の
秘策を進めている。

さらにこれから人民元が切り上げられれば、輸出向け生産拠点としてはコストがその分アップ
する。「その地域に受け入れられる事業活動」と「グローバルコスト競争」の狭間にある。

「The World is Changing=世界は変わっている」というフレーズを海外メディアではよく見る。
これは単に市場が新興国に移っているということではない。経済構造の基盤や世界の勢力
バランスが根本から変わっている、という発想の変換が必要なことを意味している。

そんななか、なぜ日本企業ばかり話題にあがるのか、日本企業にどんな落ち度があるのかを
あわせて考えてみた。中国労働問題のシリーズとして、次号で取り上げることにする。

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