CSR倶楽部レポート
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CSR倶楽部レポート 第70号 2009年12月15日
「日本企業に必要な成長戦略の明示」
発行:(株)創コンサルティング
海野 みづえ ( info@sotech.co.jp )
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元東大総長の小宮山宏先生は、日本のことを「課題先進国」といっています。
日本がこれまでとってきた欧米キャッチアップ型は、「坂の上の雲」を追いかけ
ていったいわば途上国モデル。いざ先進国になって雲の中に入ってみると、
遠くから見えた雲が実は霧。つまり、先進国モデルは「霧の中」で問題だらけ
というわけです。
続き>>http://www.sotech.co.jp/talk/vol46.html
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●世界のどこに成長領域を見出すか
世界の主要国のなかで、日本の株価だけが低迷している。政権交代後、民主党の
リーダーシップ不在で経済無策の混迷を続けていることが大きな理由だ。しかし、
すべてを鳩山政権の迷走のせいにし過ぎていないか?政治とは別に、投資家に
とって魅力的な企業戦略が実践されていないところに問題がある。
グローバルの先端企業は、国内や一部地域ではなく世界経済のなかで生き残って
いく全体最適の戦略を語らなくてはならない。新興国の勢力が増大し、政治・
経済が多極化している今日のグローバル化は、戦後の先進国中心のそれとは
かなり異なる。日本企業のトップは批判の矛先が自分たちに及ぶのを避ける
ように息を潜めているのか、グローバル企業としての重大かつ根本的な
「取るべき行動」に踏み込んでいないことに、懸念を感じている。
その取るべき行動とは、
金融危機後の変化の激しいグローバル経済のなかで、今後どの分野、どの
市場に成長を見出し戦略の重点をおくのか。そこにどうリソースを投下し、
社内外にどう説明していくか。
にある。世界の資本市場が求めているのは、個々の企業の「成長戦略」なのだ。
日本企業は総合的な展開は得意だが、選択と集中となると弱い。しかも企業数
が多く、同じ企業グループ内に競合社が存在することもある。「あれこれ」
やっている、ひとつひとつは素晴らしいかもしれない。けれど、「作れば
売れる」だけのマーケットがあるのか?右肩上がり時代のこうしたやり方を、
これからも続けられるのか?
誰もが“NO”と答えるだろう。しかし、それへの手を迅速に打っているの
だろうか?
●「日本の家電メーカーが束になってもサムスンに追いつけない」
ある年金運用機関のファンドマネジャーが、額にしわを寄せ険しい表情で彼の
懸念を話してくれた。いくら日本企業を応援したくても、何も成長戦略が描け
なければ投資家は資金を引きあげざるを得ず、成長著しい中国やインドを買うか、
となっても仕方がない。
例えば・・・、
テレビメーカーが国内5社も生き残れるのか。世界の薄型TVのリーダーは
いまやサムスン、そしてLG。今伸びている新興国市場は、完璧に韓国メーカー
の手中にある。8月に訪問したザンビアでも、パソコンはサムスン、エアコンは
LGだった。LEDテレビを世界で最初に、しかも大々的に発表したのもサムスンだ。
この時点で日本の「負け」が明白になった、と私は思っている。上記のファンド
マネジャーも、「今がラストチャンス。もう後がない」とまでいっている。
ハイブリッド車で快走を続けるトヨタ、そして他の日本の自動車メーカー。
ここは牙城だろうと思いきや、「ハイブリッドの次を一体どうするのかが、
見えない」とファンドマネジャー。事業が好調な間に、稼ぎ出した収益を次に
どこに投下しその先をさらに有利に展開するか、と厳しい。技術のイノベー
ションなのか、新たな市場の開拓なのか。今後に向けての「成長戦略」なしに
目の前のことをこなすだけでは、企業の将来に投資できない。
●「サステナビリティ」が成長戦略の柱に
イケイケの戦略家でもない、また要領よく稼ぎこむこと第一の投資家でもない
ワタシが、なぜこんな成長戦略論者になっているのか?
それは、21世紀ビジネスの成功要因が「サステナビリティ」になっているから
だ。「持続可能な成長」こそが多極化する今後の経済成長の方向で、投資家の
間でもESGといわれている、アレだ。この辺のことは先週日経にも連載した。
http://www.sotech.co.jp/publish/pdf/newspaper/016.pdf
ESGから今の成功要因をひっぱり出すと、「環境」「新興国」「透明性」に置き
かえられる。ここにきて自動車業界の世界的な構造再編が始まり、環境と
新興国がキーワードと報道されるようになった。私がこのレポートで再三取り
上げてきた流れだ。そして3つ目のガバナンス要因は、社外の声を取り入れ
説明していける透明性のある経営にすることだ。
リーマンショック後、日本企業が取ってきた対策は「コスト削減」だ。これも
必要だが、減らすことに優先をおき過ぎるあまり、収縮観やひきこもり観が
蔓延してしまった。さらに重要な、「収益を増やす」ための対策(=戦略)
が描けていない。成熟化、高齢化社会の日本には成長が期待できない以上、
海外市場それも新興国さらには途上国に展開していくしかない。こうした
国は、社会問題だらけだ。だからこそ「社会課題を事業を通して解決する」
CSRをベースとした経営が、成長戦略につながる。
今の日本企業に、そのような成長戦略を実践するだけのエネルギーがなく
なってしまったのだろうか?
●日本だけ特殊、にならないために
これには、ダム建設凍結のような今までのやり方を創造的に破壊する作業が
伴う。
まず、多すぎる企業数の統合がある。多数あった商業銀行が3行に集約された、
そのプロセスをもっと早いスピードでやらなければならない。「時間をかけて
徐々に」が許されればいいが、その間に韓国、中国メーカーがどんどん追い
上げ引き離していくだろう。
今はIBMのパソコン事業売却のような、大胆な事業再編が評価される。そして
売却した資金で何をするかだ。GEはそれで事業を強化するカルチャーであり、
伝統だった家電事業も昨年売却した。フィリップスも電機メーカーで有名
だが、最近は「健康、安心(Well-being)」を標榜する会社に変わっている。
いいものをつくって世に出すことでは会社は評価されず、顧客や社会が求め
ることを事業にする、という姿勢なのだ。戦略的CSRをさらに発展させた
もので、私は「サステナビリティ成長戦略(持続可能な成長戦略)」と呼ぶ
ことにしている。これからあちこちで話していきたいと思う。
サステナビリティ時代では、家電が数社もひしめいていられない。
TVはシャープとパナソニック、そして東芝と日立は社会インフラに集中。
ソニーはテレビから撤退を宣言・・・。
このくらい大胆な再編をやらざるを得ない。それでも世界市場でこれだけの
会社が続いていけるのかは不明だ。高性能の製品に執着して世界では
オーバースペック、日本の主要産業がガラパゴス化するのは避けたい。
社長さんたちは、「ボクの時代に大ナタ振るいたくない。この数年を何とか
しのいで次の経営者にバトンタッチ・・・」という気持ちが本音なので
しょう。
ハイ、私のごときが言うのは簡単です。でも、若い世代の人たちに希望を
持ってもらうために発言いたしました。皆が一斉にゆだっていくことが
わかりながら、ほとんど熱湯に近い鍋から出ないなんてことは・・・。
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2009年は暗くて、最後のレポートもちょっと引きずりました。2010年の
最初の号は、そんな中でも希望を見出せる巻頭でスタートしたいと思い
ます。
今年もご購読、ありがとうございました。
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