CSR倶楽部レポート
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
CSR倶楽部レポート 第67号 2009年9月29日
「経営に変化をもたらす女性役員への期待」
発行:(株)創コンサルティング
海野 みづえ ( info@sotech.co.jp )
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
毎日使っている電気が一体どうやってつくられているのか、よく知らないで
エネルギーの話をしています。そこでこのたび水力発電所を見学してきました。
水力発電はダムで堰き止めた水が落ちる力を利用して電気を起こすという簡単
な原理です。とわかっているものの、発電所の中枢がどんな構造なのかを見る
のは初めてです。
続き>>http://www.sotech.co.jp/talk/vol42.html
----------------------------------------------------------------
●変わる世界、変わらない経営層?
政権が交代し、日本の政治が変わり始めている。自民党の支配があまりに長すぎ
たために、構造が膠着し過去に成功してきたやり方を変えられなくなってしまった
日本。本当に成果が出せるのかはこれからだが、ともかく新しい政権が古い体質
にメスを入れている。
こうした体質は政治に限ったことではない。日本企業の経営トップにも、多かれ
少なかれ古い体質が温存している。日本航空のような官民癒着企業ばかりでは
ない。ステレオタイプに言うと、「共同体的な風土を反映した男中心のモノ
カルチャーな経営層」だ。
仕事はオトコがやるものであって、女性は本当に経営に向いていないのだ
ろうか?
私にしてみれば愚問でしかないこの問いの答えをいちいち説明して回らなければ
ならないのならば、日本の将来は暗い。しかし私は希望を失ってはいない。そう
いう経営者は、自民党崩壊と同じ運命をたどるだろうから。
●ノルウェーの女性エグゼクティブ推進策
北欧諸国は女性の社会進出が進んでいることで有名だ。なかでもノルウェーは、
上場企業での女性エグゼクティブ(取締役と役員)比率を40%以上にするという
法律が2004年に制定され、それを達成している。欧米の上場企業は取締役会の
過半数が社外であり、その点女性がトップに入りやすいという点が日本とは
異なるが、それにしても管理職レベルで5%もいかない日本企業からみると、
驚異的な数字だ。小国だからできるのさ、という状況もあるが・・・。
これには政府も支援策を講じてきており、先日その育成プログラム
”Female Future”についてのセミナーがあった。女性が働くことに理解のある
お国柄とはいえやはり看護師や保育士、教師といった職業が多く、民間企業の
リーダー的立場となるとわずかしかいなかったそうだ。そこでトップの育成が
必要と考え、日本の経団連にあたる経営者連盟がプログラムの推進を担っている。
女性役員を増やそうという理由は何なのか?
ノルウェーだけに画期的な答えが返ってくるかと思ったが、優秀な人材をひき
つける会社風土をつくり、異なる視点を経営に取り込んだダイバーシティを
進めることが、これからの成功する企業像ということであり、これ自体に
真新しいことではなかった。プログラムの実施を通してその成果が確実に
あがっていると実感しているそうだ。
特にセミナーでは、このプログラムに参加した後ノルウェーのIT企業のCEOに
抜擢されたカールセンさんのお話が実経験に基づいており、非常に説得力が
あった。彼女は何度も「ノルウェーでも企業トップは男社会で、女性役員は
とても少ない」といっていたし、「女性は男性よりもたくさん成果を出さないと
認められない」というあたりも、ただ単に社会が女性の受け皿をつくったので
はなく、努力しなければ認められないことが伝わってきた。また彼女のご主人は
子供が出来た後、育児休暇を取って交代で仕事を続けたそうだが、ノルウェー
であっても特異なケースなのだそうだ。日本に「できない」状況などどこにも
なく、私たちが最初から難しいと思っているだけだと思えてくる。
●「変える」要素をもっている女性
そして日本の現状は・・・。
続いて日本企業で活躍する3人の執行役員(JT、リクルート、日産自動車)を
含めたパネルディスカッションに。3人とも社内では女性役員は一人という
立場だ。「女性が入ったことで、経営層の意識が変わった」という実例に期待
したいところだ。
なかでも日産自動車の星野朝子さんの話がおもしろかった。
ゴーン社長から、男ばかりの役員会に違った視点を切り込んで欲しいと直接
誘われ、2006年から役員を務める。彼女の立場から、積極的に発言している
ことが伺えた。今では役員が彼らの後継者を選ぶにあたって、必ず女性候補を
入れることが慣例になっているそうだ。
一人でも変えられるが、それは根本的でない。会議では少数意見であれば
尊重される。しかし説得力があっても、一人の発言は所詮「個人の」意見で
しかなく少数意見にすらならない、と星野さん。恐らく日産の役員内部に
変化が生まれているだろうが、まだまだなのだ。
日本の社会は、大方がYES(またはNO)という雰囲気を感じ取って、それを
自分も意見として表明するという風潮をよしとしてきた。これを調和という
のだろうが、変化の激しい今日の社会でビジネスをし続けるには外界の変化
に適応できる変革力が必要だ。それには個の違いを認めることから始まる
のだが、そもそもオトコ社会では「違う」と意思表示することすら敬遠
されていたので、そんな人材は組織からはずされていった。独立の眼で発言
できる有能な男性をサラリーマン社会から見つけるのは難しいかもしれない。
それを考えると、むしろ女性の方が経営トップのカルチャーに変革をもたらす
のに向いているのではないかとすら思う。私自身、上場企業の社外取締役を
経験してそれを実感した。当然ながら女性一人だったが、そういう立場には
こだわらず経営を外の眼からみて毎回の取締役会で発言するようにしていた。
現経営層の男性は「女性が経営を変える要素をもっている」と自信を持って
いわないが、若手の間からはそんな意見もみられる。
「女性と社外取締役とコーポレート・ガバナンス」
http://www.corporate-governance.jp/opinions/opinion-fy200908-1.pdf
これからの経営は過去の同質化した成功モデルから生まれるのではなく、
社外の眼や個を尊重し違いを取り込むカルチャーをもてるかどうかがカギに
なるだろう。
==================================
ご意見、お問い合わせは、下記までよろしくお願いします。
発行: 海野 みづえ ( info@sotech.co.jp )
株式会社 創コンサルティング (http://www.sotech.co.jp)
〒102-0076 東京都千代田区五番町2-10 さくら五番町ビル2階
※掲載内容の無断複製・転載はご遠慮ください。
※このメールマガジンは、まぐまぐで配信しています。
※無料講読の登録・変更・停止、バックナンバーはこちらまで。
http://www.sotech.co.jp/csrreport/
==================================
|第66号|CSR倶楽部レポート一覧へ|第68号|