CSR倶楽部レポート

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   CSR倶楽部レポート 第65号    2009年8月1日
     「企業の環境力をどう評価するか」

     発行:(株)創コンサルティング
        海野 みづえ ( info@sotech.co.jp )

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世界の工場である中国。安価に製品がつくられるその裏側が一体どんな実態なのか、
想像するもののなかなか表に出ません。そこに元フィナンシャル・タイムズの
中国特派員が果敢に入り込み、実際に労働者にインタビューして書いた本が
「中国貧困絶望工場」です。
続き>>http://www.sotech.co.jp/talk/vol38.html

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●環境情報の総合的データベース構想
先日、企業の環境力評価をテーマにしたシンポジウムでパネルディスカッションに
参加した。環境力評価は経済産業省が「金融市場における『環境力』評価手法
研究会」で進めてきており、その担当官の解説をきっかけに私も討論に加わった。

基本は企業から開示される環境情報を使って環境力を評価しようというもので、
共通に使える環境情報のデータベース構築を提案している。せっかくCSR報告書で
開示しているのだから、そこをスタートに共有化できたらいいじゃないか、という
発想は誰もが考えることだ。私もそんなことを随分前に考え、形になったのが
東洋経済の「CSR企業総覧」だ。

今回のプロジェクトでは、環境分野をかなり広範囲に細分化している。環境力を
総合的に判定しようと思うと、「温暖化対策だけが環境問題じゃない。リサイクル
や水対策などあれもこれも入れなければ」という気持ちになる。

●金融市場は戦略の筋道とそのパフォーマンスを知りたい
しかし、このプロジェクトのそもそもの目的は金融市場での企業評価にある。
資本市場での活用つまり投資家による利用を強く意識しており、この開示データ
を使って株価指数を作ればSRIももっと活性化するだろう、と考えている。

企業側では、これまでも環境、CSR報告書で網羅的に情報を開示しているのに、
誰がどのように活用しているかがよく見えない。きっと投資家もその中から選択
して分析に使ってくれていると思いたいが、私が聞いた投資家からは「たくさん
情報が書いてあるが、一体これが業績にどう関連するのか見えなくて、あまり使え
ない」という反応が多い。

投資家が期待する情報開示は、結果としての数値だけではない。そもそも事業を
やっていくうえで、環境問題はどういう位置づけなのか、例えばリスクなのか機会
なのか、製品技術開発につながるのか規制の対象になるからやるのか、といった
戦略性や事業計画への影響を知りたい。そのうえで、事業活動の成果としての
数値(指標)を通してパフォーマンスをみる。さらにそうした計画~活動が業績に
どうつながるのかを判断したい。その道筋が説明されていることが第一で、広範囲
のあれもこれもの情報開示は必要ない。このように絞り込んだデータがKPI
(Key Performance Indicator)だ。

また、「情報開示」と「説明責任」を同じように見ている人が多いのも、この
ような数値だけの開示ですべてが理解できると誤解を生むもとだろう。後者は
会社がどのようにしたいのかそしてその結果がどうであるのか、つまり「意図」
を筋道立てて外部にわかるように体系的に解説していくことだ。意図のない
状況説明の報告は、投資家にとってもステークホルダーにとっても何の意味が
ない。

今回の環境力評価は、「総合的」にこだわったためか開示項目が多すぎて、
投資家のニーズにあいそうもないようだ。ニーズが明確でないのなら、あまり
企業に開示のための負担をかけるべきでない。

●業種ごと、企業ごとに環境力の評価ポイント異なる
そもそも業種によって環境への負荷のエリアや度合いが違うのだから、まず経営の
事業プロセスの点から考えるべきなのだ。例えばCO2排出量。鉄鋼業などの原料
業界では、製品をつくる工程で多大なCO2が排出される。排出は原料生成に伴う
基本プロセスなので、工場内でどう排出量を減らすかが課題だ。

これに対して自動車や家電は、製品の使用過程でのガス排出、電気消費量の方が
重要だ。使用期間が何年にも渡るので、こちらの方が環境への負荷は断然大きい。
自社内での削減努力よりも、いかに効率的な環境配慮型製品を開発しそれで市場を
獲得するかにある。

同じ製造業でもこれだけ違いがある。サービス業などを加えれば、違いはもっと
大きくなる。企業が報告するCO2排出量を単純比較するだけでは、どの産業でどの
会社が強いのかが見えてこない。

業種ごとにそれぞれの要因を踏まえて評価するアプローチは、投資家の間では
一般的だ。問題は業界をまたがって総合的に評価して結果を出そうという
株価指数だ。まず業界内で企業間評価をし、それを業界ごとにウェイトづけして
全体でならすという考えかもしれないが、違う次元のものを一様にするのは無理
な話だ。海外の先行例としてダウジョーンズやFTSE4GoodがSRIインデックスを
運用しているが、かなり大まかなやり方であり私は問題が多いと思っている。
問題が解決できないまま、後追いで日本の指数を作るのはどうだろうか。

●投資家に説明していける環境経営
では、環境力は一体どうやって評価したらいいのか。
資本市場での評価手法とは、
 ・事業戦略のなかで環境活動はでどのように関連しているか
 ・これが業績にどのようにつながっているのか
のロジックを説明することだ。わかりやすいひとつの例としてGEを取り上げると、
 ・今後世界の環境市場が伸びると予測されるので、環境ビジネスを強化する
 ・GEでは○○の環境事業に力をいれる
 ・そこに○○ドル規模の投資を行い、○○年後に○○ドルの売り上げを目指す
というステップだ。投資家を意識しすぎという姿勢がありありなのだが、環境で
やっていることを財務につなげて説明することで業績との関連が明快になる。

長期にわたってビジネスを展開しようというのならば、地球上の環境、社会的な
制約である外部不経済を取り込んでいかなければ永続できない。それならば、そう
した要因がどのように業績に影響するのか、時期的にどれくらいのタイムスパンで
考えているのか、それに対してどう事業を進めていくのか、そんな説明が戦略のなか
に位置づけられ外部にも説明できる企業が環境力のある企業といえるだろう。
日本企業にその実力は十分ある。

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