CSR倶楽部レポート
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CSR倶楽部レポート 第62号 2009年4月10日
「バングラデシュでの持続可能な経済発展への期待」
発行:(株)創コンサルティング
海野 みづえ ( info@sotech.co.jp )
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混沌として秩序がないのに(それだから?)底から突き上げてくるような
エネルギーと活気にあふれている、ダッカはそんな感じの都市でした。
先週バングラデシュに行ってきました。
続き>>http://www.sotech.co.jp/talk/vol32.html
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●マイクロファイナンスを通した農村での互助
このレポートの57号でアジアのCSRについて書いた時、マイクロファイナンス
(MF)や貧困層ビジネスについて触れた。
http://www.sotech.co.jp/csrreport/csrr/vol57.html
MFというとグラミン銀行の話題ばかりで、ここがすべて取り仕切っているのかと
思ってしまう。しかし実際はバングラデシュだけでも1000近くという数多くの
機関が存在する。グラミン銀行や今回私が訪ねたBRACはMFのモデルをつくり
あげた中心的な機関で、これを模範としながら他の小さな機関が農村各地に展開
しているのが実状だ。
「銀行」なので店舗でもあるのかと思われそうだが、農村のグループに訪問して
貸した資金を回収するのが業務なので、建物などはない。だから街に行っても
銀行の看板もみかけない(BRAC BANKは一般の商業銀行で、MFとは別事業なので
注意)。
金利は15%と、かなり高利子だ。貧しい人たち相手に随分と割りのいい商売
を・・・、と思うかもしれないが、単なる金貸し業ではないところがこのモデル
を成り立たせている。互助組織を自分たちで立ち上げ、お金を回すことでこの
組織を継続させ、その結果個々人が成長できる、というスキームの導入こそが
MFの目的なのだ。そのための指導やアドバイス、チェックをする人材を育成、
派遣する費用がこの金利のなかに含まれていると考えればよい。このような手間
のかかる活動を基盤とするファイナンスなので、外部から資金だけもっていって
「やりましょう」といってできる仕組みではない。
MFは底辺部の貧困解消の活動であることから、政府もこれを支援している。
国の隅々まで直接入っていくほど政府の手が届かないので、やりきれない部分は
民間団体に任せて共同していこうという施策なのだ。政府は財団をつくって、
ここからMFの拡大とともに運営の維持・促進を行うことで質的なアップを図ろう
と間接的な関わり方で支援している。財団はユヌス氏などMFの有力推進者が
理事になり、民間運営されている。
●MFだけでなく事業の創出が必須
MFの存在ばかり取り上げられるが、金融であることは変わりないので、実業の
ビジネスをどれだけ立ち上げられるかが重要だ。借り手の女性たちに、どんな
ことをやっているのか聞いてみると、布地を購入して衣服を縫製、乳牛の飼育、
雑貨・食料品店の経営など身近な生活に関係する仕事がほとんどだ。ご主人は
別の仕事をしていて、新たな収入源を作り出すことに皆ハッピーで協力的だ
そうだ。
この活動が進展し、リーダー格の人材が「集まってもうちょっと大きくやれば、
もっと仕事が広がる」と考えだせば、営利組織が立ち上がってくる。器具を
共同購入したり、グループでの分業を考案して生産性を上げる。その販売ルート
を確保する機能も必要になってくるだろう。ここに外資企業との連携の可能性が
出てくる。
これは何もMFの発展形とは限らない。外資が地域に必要な事業に目を着け、
この国での消費を目的にして技術やリソースを導入しようと考える。しかし
設備は海外から移入できても、原料の調達や販売ルートは現地のルートを開拓
する必要がある。秩序のない途上国では、これが最も難しい。そこで、現地の
団体と連携し、現地の人材やネットワークを活用していくことが成功の道筋だ。
これがBOPビジネスのモデル。ダノンがグラミン銀行と共同出資で設立した
ヨーグルト工場のグラミン・ダノンなど、まだ少ないが事例ができはじめている。
●生産拠点としてのバングラデシュの将来は?
バングラデシュの経済成長について、話題を農村部からスタートしたがもちろん
都市部での活況を忘れているわけではない。多国籍企業の生産拠点は、中国や
他のアジア諸国の物価上昇、インフレの問題を受けて、最近インド、バングラ
デシュへと移っている。バングラデシュの工場労働者の賃金は中国の1/3だと
いうし、人口1億4000万人の過密国で労働力の手配にも問題がない。やはりその
多くは女性だ。
私が訪れた現地の縫製会社は100%輸出向けで、欧米アパレル会社や小売会社に
卸している。外資は品質や労働環境の要件が厳しいが、それを逆にプラスと考え
そこに投資することで、大口の顧客との取引を増やし急成長している。昨年から
稼動しているという工場も訪問したが、周囲の環境とは別世界で内部は非常に
清潔そのものだった。工員用の食堂や医務室まである。さらに今年中に拡張する
のだという。
この半年先くらいまでの計画は順調だが、その先は恐らくバングラデシュでも
そう大きな成長は見込めないだろう。バイヤーからの金額的な圧力も強くなって
おり、生き残れるのはこのように大規模投資をして生産性を上げているところに
限られるだろう。既に家族経営的な零細生産者の淘汰は始まっているという。
途上国での事業展開という点では同じかもしれないが、その目的が市場(消費)
にあるか生産にあるかで大きく異なる。現在の関心はまだ後者だ。このまま
低賃金を当てにした生産をしていて日本企業は大丈夫だろうか。この目的で参入
した中国→ベトナムが、経済成長のつまづきで課題になっている。最貧国
バングラデシュの賃金が上がったら、次はどこに行けばいいのだろうか。
社会的な視点からこの問いに答えを出すのは簡単だが、ビジネスとしてすぐに
実践可能な答えは難しい。どんな貧しい人たちも、豊かになりたい。その
チャンスができれば、手に入れようとする。しかし、経済だけを主目的とした
やり方はすぐに行き詰る。やはり長期的にサステナブルな方法で、社会課題の
解決を伴うビジネスを展開することが必要になってくる。
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