CSR倶楽部レポート

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   CSR倶楽部レポート 第60号    2009年2月25日
     「『CSRの基本』の裏側」

     発行:(株)創コンサルティング
        海野 みづえ ( info@sotech.co.jp )

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競馬を観戦してきました。レースを観るだけが目的のつもりだったのですが、
やはりというか当然馬券を買い、儲かっただの損しただのと一喜一憂して参り
ました。今回のメンバーには機関投資家や運用機関の方たちが何人もいて、
話題は自然と「競馬と株」の類似点/相違点に。
続き>>http://www.sotech.co.jp/talk/vol29.html

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●CSRの全体マッピング
CSRのことを全般的に初心者向けに解説した書、
 「企業の社会的責任[CSR]の基本がよくわかる本
   取り組む理由から業務に組み込む工夫まで実践のためのポイント35」
を出版しました。

昨年の夏出版社より、CSRの入門書を出したいのですが・・、と持ちかけられた
ことがスタート。CSRの本はたくさん出版されているが、著者の専門領域からCSR
をそれぞれに語っているものばかりで、全般を俯瞰しているものが少ない。
弊社のウェブサイトで紹介しているCSRの概念解説やマネジメントへの展開が
「一番わかりやすい」ということで、この流れを書籍にすることが決まった。

●「初心者向けに」が難しい・・・
内容はこれまで弊社が研修で展開しているものや、私が講演でプレゼンしてきて
いるものを土台に構成した。第1章の「そもそもCSRとは何か?」は、導入なので
できるだけ身近な出来事と関連づけてCSRに近づいてもらっている。

導入部分をわかりやすく書くのは結構難しい。ずっとこの分野に関わっていると、
もう当たり前になっていることを改めて噛みくだかないといけない。例えば
重要なキーワードである「持続可能な社会」。なじみのない人には、これだけで
一体何をさすのかイメージすらできない。聞いたことがある人も、バラバラな
認識だったりする。そこで、本書全体で具体的に解説や事例を盛り込むよう
心がけ、この本を読み終わった時にこの言葉の意味することがわかってもらう
ようにした。

また取り組む理由を4つ挙げているが、これも結構悩んだ。会社がどんな業種で
どんな業務展開をしているかで理由は全然違ってくる、ということが私の持論で
全般的に書こうとすると、どれかが中途半端になる気がする。初心者向けだし
読者層が広いので、今回はこのくらいにしておいた。

●規格にとらわれず、必要なポイントをわかりやすく
現在ISO26000が検討されており来年には発効という状況だが、ISOの解説本には
していない。その内容を十分検討したうえで、CSRの基本分野はISOの中核主題
そのままでなく、日本企業が考えやすい5分野に整理し直している。

例えば、日本で最もわかりにくい主題が「人権」で、まずネガティブな反応
ばかり先行する。人権ときくと、社員の差別問題だけがあがり、その対策をして
いるかだけを考える。しかし国際レベルでは、途上国の現地の人たちが「生活
する権利」といった広い概念だ。この違いはよく説明しないとわかりにくいので、
また別のニュースで取り上げたいと思っている。

また、長年CSRマネジメントに関わっており、規格委員ともよくディスカッション
している私でさえ、このガイダンス文書の書いてあることが「よくわからない」。
もちろん文字づらはわかるし、その大方の意味するところはつかめる。
でも読んだだけでわかるか、といえばNO。これまでの膨大な蓄積があって
はじめて理解、推定できる。

一例として、ISOの「社会的責任の定義」、これでわかりますか??
 次のような透明かつ倫理的な行動を通じて,組織の決定及び活動が社会及び
 環境に及ぼす影響に対する組織の責任
   - 持続可能な開発,健康及び社会の繁栄への貢献
   - ステークホルダーの期待への配慮
   - 適用される法令の順守及び国際行動規範の尊重
   - 組織全体で統合され,組織の関係の中で実践される行動
何のコッチャ?そこで、私はこれを「持続可能な社会に向けて、社会的課題に
ついて事業活動を通して解決していくこと」と言うことにしている。要点は
押さえているので、上記をそのままもってくるよりよっぽどわかりやすいのだ。

ISOと聞いて、世のコンサルタントはビジネスになると思うかもしれないが、
どれだけの人が内容を把握できるだろうか。これだけ広範囲のことを企業に導入
させるとなれば、膨大なコストだ。何を意味しているのかもわからずにステレオ
タイプに要請する、などという低レベルのコンサルティングだったら、企業は
さっさと断った方がいい。

●ビジネスの創出からPDCAサイクルまで
CSRといえども、事業との関連性を明確にしていくことが必要になっている。
それにはCSR課題について機会とリスクという視点をもち、戦略的CSRを強調する
ことだ。新たなビジネスを創り出すとなるともうCSRといわない方がいいのだが、
CSRのエグジット(出口)として提唱してきている。その典型例としての
ソーシャル・ビジネスも併せて掲載しておいた。特に中小企業では、こちらの
可能性を大いに探ってほしい。

最後の推進実践編では、PDCAサイクルのなかで主要な活動のみを取り出した。
実践のコツはもっと考えられるが、私が強調したいところのみにしている。社内
への浸透やステークホルダーとのコミュニケーションなどは、様々な方法が
考えられるので、ここではいくつかの例を示した過ぎない。ひとつやって、
これで万能というものでもない。読者の皆さんのアイデアで社員や周囲の人たち
の意識が変わっていく実践例があれば、それが最良の方策なのだ。

レポーティングは最後の最後に。現実CSR報告書の作成作業が多大なことは
わかっているが、それは手段でしかない。うまく広報するためのCSR報告のコツを
知りたいなら、別の本を読んでもらえばいい。

ということで、初心者だけでなくCSRに関わって何年もたつという経験者にも、
いろいろと気づきのある本になっていると思う。感想やコメントをどうぞお寄せ
ください。

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