CSR倶楽部レポート

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   CSR倶楽部レポート 第37号    2007年4月23日
     「SRIと新しい企業・金融」

     発行:(株)創コンサルティング
        海野 みづえ ( info@sotech.co.jp )

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借りている事務所の契約更新にあわせて火災保険の更新もするのですが、今回
その更新内容をみて「あれっ?!」。保険料がこれまでの1割以上高いんです。
よく見ると下のほうに「保険料を改定することがあります」と書いてある
けど・・。そこで保険会社に問い合わせてみると、最近台風による被害が多く
それで保険金の支払いが増加してしまい、昨年保険料を見直したとのこと。

温暖化による気候変動が、こんな形でも身の回りに影響しているのです。家が
壊れた時は保険がでるのでヨカッタ、と思うけど得したわけじゃない。自分に
直接被害がなくても、世の中の環境問題が確実に私たち一人一人の負担にきて
いる、ということを改めて実感しました。

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●SRI評価基軸の再検討
国内外の最新SRI事情について書いた本が発行になった。
「SRIと新しい企業・金融」、谷本 寛治編著、東洋経済新報社
これは、谷本先生を座長としたSRI研究会(野村證券寄付講座)の成果をまとめ
たもの。私もそのメンバーとして参加し、「第3章 企業評価におけるマテリ
アリティの特定」を担当させてもらった。

金融関係者ばかりが集まる中、私は当初海外のSRI評価機関の最新状況を書く
という役割でワーキンググループのひとつ(メンバー:日本総研、野村證券、
三菱UFJ信託ほか)に入った。しかし海外ではダイナミックなSRIの変革が進行中
で、従来の評価機関のアプローチだけを追うのではこのうねりはわからない。
評価基軸そのものを再考する議論であり、これはマテリアリティをどう評価する
かが論点だ。
そこでそのことを話したところ、他のメンバーも同様な認識でよしそれで行
こうということになった。これで私の中でマテリアリティ指向の考えに確証が
もて、ぐぐっと前に進んだ。

1年半前は、日本で企業や会計士の方たちにマテリアリティを持ち出しても反応
がイマイチだったりまるで要領を得なかったので、私は仕方なく自分の課題と
して引き出しに入れておいた。しかし、海外の流れに接しているここの金融
関係者はすぐに反応した。メインストリーム投資で社会評価を位置づけるには
マテリアリティの観点が必要、ということがわかる人たちだったから。

メンバーとの議論は非常におもしろかった。私の中で漠然としていたMateriality
とRelevanceの概念の違いや、財務関係者とCSR関係者とのマテリアリティ解釈の
ギャップの考察などをなげかけてみると、メンバーの反応は「おぉ?っ、
なるほど!」とかなって根本的な議論を歓迎し意見を出し合って多いに沸き
立ってくれた。私の気づかなかったフレームなんかも紹介してもらえ刺激が
多く、これで論点が整理できた。

とにかく探究心ある金融の皆さんと同じレベルで話ができてよかった。ここ
では、海外の規格などを聞いてもそれをすぐそのまま当てはめようとはせず、
それぞれ自分のロジックをもっていてそこでフィルターをかける。残念ながら
CSR関係者は、「・・・そんなあるべき論なんかいいから、今何をやればいいの?」
と手っ取り早くノウハウだけ聞きたがる傾向にある。何で自分で考えて、オリジ
ナルの論法で勝負しないのだろう。特にCSRコンサルタントが表面的なサーチ
だけで「今のトレンドはこれだ」といった感じで企業をたきつけて、つまりは
他社と差別化するためのサービス手段にしてしまう。この人たちにとってコン
サルティングとは、流行りだしたものを企業に素早く示せるお仕事のこと
らしい。「自分で課題を発見し頭で考え、ソリューションを出す」ことが
できないコンサルタントって一体何だ?

●SRIとメインストリームはねじれながら歩みよる
これまでのSRIは、SRIに特化した投資家が引っ張ってきた経緯があり、ニッチ
市場だった。ここにきてメインストリーム投資でも環境・社会・ガバナンス
(ESG)要因を言い出したのであり、SRIのメインストリーム化と同時にメイン
ストリームのSRI化が進みつつあるという潮流だ。そこで私たちのWGは、
この新たな傾向を実証するために、海外調査を行うことになった。昨年の3月に
メンバー6人で北米調査、そして夏から秋にかけては個別に欧州調査を行った。

メインストリームのSRI化といわれ始めるものの、アメリカの資本市場は
思ったほど社会・環境評価を取り込んでいなかった。私たちは、SRIとメイン
ストリームが両極端にあり、それが真ん中の均衡点に向かって両者が歩み
寄っていると思っていた。確かにその動きはあるのだが、それが決して
交わらない。この位相が違う現象を、日本総研の足達さんが「ねじれの位置」
とうまく表現してくれ、一同おぉ?。

またこの出張で、メインストリーム運用機関がSRIを受け入れる最大のポイント
は受託者責任で説明できるか、ということがよくわかった。SRIを前提にして
この方針に賛同して集まったファンドならば投資家への責任が果たせるが、
もともとある基金の運用を任せられているならば、ファンドのパフォーマンス
があって始めてSRIが成りたつ。つまり「それで儲かるのか?」。Noまたは
説明できなければ見送られる。自分で納得できなければ委託者にも説明でき
ないので、「想い」だけではメインストリーム投資家は動かない。受託者
責任を突破するには、マテリアリティの論証が必須なのだ。

ところで、一緒に旅行していると、皆さんの性格とか趣味とかそんなことが
自然にわかってくるので楽しい。私は東京での勉強会では、随分と構えていて
主張モードだったけれど旅行中はリラックスした話ができて、皆さんと和めて
よかったです。またこういう機会は持ちたいです。

●財務アナリストとの混成チームによる評価
欧州の調査は、企業側のコンタクトも含め10月のGRI会議の前に単独で数社
訪問した。金融関係者のうち、できるだけ従来型でなく新しい評価にチャレ
ンジしているところを訪問した。その中のGeneration Investment社は、
社会・環境評価と財務評価を総合的に判定するリサーチをとっていて、斬新
だった。ここの調査責任者は、SAMでSRI調査に長年携わってきたエキス
パートで、調査票式SRI評価の効用と限界を知り尽くしている。そのうえで、
調査票に基づかないアプローチをとっている。彼には会えなかったが、別の
スタッフから「私たちが新しいサステナビリティ投資を世に示す」という意気
込みがビシビシ伝わってきた。

企業の訪問については、マテリアリティ議論を推進しているイギリスのNGO
であるAccountAbilityからマテリアリティ・プロセス先進企業を教えてもらい、
このうちのBTやBPを訪問してきた。これについては、同機関より調査レポート
”The Materiality Report”が2006年11月に発行されたので、次号で解説
します。

今年に入り温暖化対策モードが世界で一気に高まっているので、投資家のESG
への関心はかなり加速されているだろう。引き続きこの世界の動きをウォッチ
していくことにしたい。

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