創環レポート

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    創環レポート 第24号     2003年8月21日
     「ビジョナリーカンパニー」

       発行:(株)創コンサルティング
               海野 みづえ ( mizue@sotech.co.jp )

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やっと夏らしくなりました。といってももう8月も後半。先日は雨が降るのにアブラゼミ
がもう待ちきれないように大合唱、更にその日の夜は早くも虫が鳴きだすという、梅雨
・夏・初秋が入り混じった妙な気候でした。電力供給不足でこの夏どうなる・・・、
と思われていたのでこの涼しさはその点では救いの手ですが。

今回は前号の続きで、CSRマネジメントシステムの枠組みでもっとも重要なポイントで
ある「ビジョンの設定」に関連する話題です。

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●最初にビジョンありき
前号でCSR-MSの枠組みを紹介したが、ここの最初に掲げられることが「ビジョンとリー
ダーシップ」だ。単にシステムをつくって回せばいいということではなく、まず第一に
「ビジョンを設定する」ことであり、この方向に沿ってすべてのプログラムや活動が計画、
実行されるべきということだ。

ここでのビジョンは、経営方針のさらにうえつまり経営理念である。経営理念を持たな
くても会社は運営できるが、会社の操業にはそもそもの意義があるはずで、単に儲ける
だけでない会社存続にあたっての基本だ。

日本企業の間にも、理念や社是に基づいた創業をしている会社は多い。そして多くの
ケースで、「会社経営は社会の繁栄のためにある」として理念の中に社会の視点つまり
ステイクホルダーへの配慮が謳われている。こうした創業者の思いや「徳」が企業経営
という形になっている会社は長く日本で尊敬され続け、無論今の社会でもその存在は
大きい。

●米国では「ビジョナリーカンパニー」
米国企業は短期的な業績を追うばかりで、CSRのような長期の視野に乏しいことが一般的
だが、米国でも「ビジョナリーカンパニー」として、理念をしっかり持った企業が永続
して繁栄し続けている。
これは数年前日本でも紹介されて話題になったもので、50年以上業績を伸ばしつづけて
いる優良な企業は皆、「基本理念を維持」しつつ「変化を促進する」という一見相反する
概念を両立させた経営をしており、理念(ビジョン)をもつことの重要性を強調している。

今欧米でサステナビリティ経営の優良事例として挙げられる企業はビジョンを欠いていた
ことを反省し、改めて理念を設定するところからはじめそれを実践している。それらの
会社のサステナビリティ報告書をみると、どこもCore Values(基本的価値観)の設定
から始めている。これはまさに企業哲学であり、企業文化であるといっていい。「CSRは
企業の価値観そのもの」なのだ。

●会社ブランドとしてのCSR
そう考えれば、社会的な問題を起こした後からとってつけたビジョンを展開する企業より
も、そもそもの創業時から会社のDNAとして脈打っている経営理念をもう一度経営の柱と
して位置付け直し、今風の言語でわかる形で示し実践していくことがCSRのひとつの
展開方法といえるだろう。

そうすると、何も新しいことをしなくてもいいではないか、ということになる。ここで
の課題は、何十年とやってきた当たり前のことを、見える形で示すことだ。日本的経営
としてやってきた、「日本人にはわかる」ごく当たり前の自然の言葉や概念を、文化や
慣習の全く異なる外国人従業員やステイクホルダーにもわかるビジョン、経営体制に落
とし込むことなのだ。

先日松下電器で研究会を開催した際、その会議室の前面に「ひとりひとりが創業者の精神
で」という標語が掲げられていた。その横に英語で「a spirit of founder」とあった。
あとから松下電器の方に聞いてみると、もともと松下幸之助氏は「みんながうどん屋を
やる気持ちになれ」(大阪弁でないので、うまくニュアンス出てませんが・・・)と
言っていたそうだ。こっちの方が日本の社員にはよっぽど意志が伝わるだろうが、会社の
スローガンでは「創業者」となり、海外向けにはfounderとなる。

「うちの経営理念、英語にしてみると何だか意図が伝わらないんだよね」。これではだ
めだ。言葉や文章で伝わらないのなら、どうやって日本の概念を現地経営に浸透させるか、
そこがCSRだ。今や自動車や家電製品などは日本製品が世界に広がっている。製品の日本
ブランドは構わないが、従業員の3割以上が海外であれば、これはもう日本企業ではなく
グローバル企業だ。世界がCSRを求める背景は、グローバル市場に対応する経営の国際化
にあり、あらゆる地域で「会社」のブランドを認識することだ。

海外展開についていうと、YKKが「善の巡環」を経営理念として掲げこのコンセプトを
海外操業においても徹底して来た経緯が、吉田忠裕氏の「脱カリスマの経営」(東洋経済
新報社)の中で語られている。CSRという言葉は使っていないが、創業時からずっと貫いて
いるこうした経営が日本的ビジョナリーカンパニーであり、日本から発信できるCSRだと
思っている。

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